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労務情報

フレックスタイム制を検討する際のポイント ~外してはいけないフレックスのルール~

公開日:2020年11月12日(当記事の内容は公開時点のものです)

監修:社会保険労務士法人 ヒューマンリソースマネージメント
特定社会保険労務士 馬場栄 
監修:社会保険労務士法人
ヒューマンリソースマネージメント
特定社会保険労務士 馬場栄 


時差出勤制度との違いは?

今週のピックアップ

【労務情報】
◆ 時差出勤制度との違いは?
◆ コアタイム以外の時間帯に業務命令はできない
◆ 遅刻・早退した場合に賃金控除はできない
◆ 休憩を取得する時間帯も委ねる訳ではない
◆ 半日単位の年次有給休暇は注意が必要
◆ 自社の働き方にフレックスタイム制は本当に合っている?


【KING OF TIME 情報】
◆ フレックスタイム制の設定
◆ 1か月を超えるフレックスタイム制の設定方法
◆ タイムカードのフレックスタイム集計について
☞ KING OF TIME 情報は 《 こちら 》


時差出勤制度との違いは?

新型コロナウイルスの流行がまだ収まらない中、勤怠ルールの見直しとしてフレックスタイム制度や時差出勤制度の採用について、最近ご相談を受けることが多いです。
共に、労働者本人のプライベートに関する都合や業務の都合に合わせて、勤務時間を柔軟に対応する為の制度にはなりますが、この2つの制度は似て非なるものになります。

<フレックスタイム制度とは>
・一定の期間についてあらかじめ定めた総労働時間の範囲内で、労働者が日々の始業・終業時刻、労働時間を自ら決めることのできる制度。
・制度導入の際には、法律で規定されている内容を盛り込んだ労使協定を締結する必要がある。
・残業時間の計算は、1か月単位でのみ行えばよい。

<時差出勤制度とは>
・1日の所定労働時間を変更しないまま、始業・終業時刻を繰り上げ、または繰り下げることができる制度。つまり、働く時間帯をスライドさせる制度。
・法律で規定されている制度ではないので、会社の裁量により自由にルールを設計できる。
・残業時間の計算は、原則通り1日単位・1週間単位の2つの単位で行う必要がある。
(変形労働時間制を採用している場合は、それに加えて「1か月」もしくは「1年」での単位も加味して計算)

上記の通り、フレックスタイム制は労働者にとって柔軟な制度であり、また残業時間の計算が非常に簡単で会社にとってもメリットがある制度になります。
一方、法律で決められたルールの範囲内で運用する必要があり、そこを正しく理解しないと、いざ制度導入したものの自社には合わない制度だった…ということにもなりかねません。

転ばぬ先の杖として、フレックスタイム制の注意点について解説致します。


コアタイム以外の時間帯に業務命令はできない

フレックスタイム制を導入する際に、コアタイム(必ず勤務しなければならない時間帯)やフレキシブルタイム(いつ出社・退社してもよい時間帯)を設定するケースが一般的かと思います。

では、コアタイム(10時~14時)と設定した会社で、午前9時に会議を行う必要が生じました。この場合、フレックスタイムを適用している社員に、9時からの会議に出席することを命じることはできるでしょうか?

答えは「会議に出席することを命じることはできません」。

フレックスタイム制は、労働者が日々の始業・終業時刻、労働時間を自ら決めることのできる制度です。よって、会社が業務上での必要性をいくら主張したとしても、コアタイム以外の時間帯での始業・終業時刻を指定することはできないということになります。
どうしても会議に出席させたい場合は、業務命令ではなく「同意」を取り付ける必要があります。

なお、コアタイム以外の時間帯での労働に同意せず、業務に支障を来した労働者に対しては、人事考課でマイナス査定をすること自体は可能であるとされております。

しかし、何度も同意をしなかったならまだしも、1回の不同意で人事考課でマイナス査定するのも考えものです。また、何度も同意をしなかったという事実は、確かに人事考課の材料にはなるものの、そもそも自社の実態にフレックスタイム制が合っているのか?という疑問も生じます。

加えて、このような調整を行う必要がある労働者が1人だけというのであればまだしも、社内で複数いるというのであれば、コアタイム時間帯の変更や、そもそもフレックスタイム制が自社に合っているか?という検討も必要でしょう。


遅刻・早退した場合に賃金控除はできない

フレックスタイム制は、清算期間での総労働時間や所定労働時間と、実労働時間との過不足に応じて賃金を支払う制度になります。

よって、ある日に遅刻(例えば、コアタイム:10~14時で、11時に出社)したとしても、その遅刻に対してただちに賃金控除を行うことはできず、その日に遅刻したことを含めて清算期間での実労働時間を計算し、所定労働時間に満たなかったら初めて賃金控除ができるというものになります。

では、フレックスタイム制を採用した場合、遅刻・早退管理は不要ということでしょうか?
給与計算のみの観点では、日毎の遅刻・早退の管理は不要ですが、人事考課という観点では日毎の遅刻・早退の管理は行うべきであると考えます。

必ず勤務しなければならない時間帯であるコアタイムに労働していなかった。言い換えると、会社ルールを守らなかったということに対しては、社内秩序維持の観点で何かしらのペナルティを与えるべきであり、例えば昇給や賞与などの査定に反映させることは必要であると思います。


休憩を取得する時間帯も委ねる訳ではない

フレックスタイム制は労働者が日々の始業・終業時刻、労働時間を自ら決めることのできる制度です。休憩を取得する時間帯を労働者に委ねる制度ではありません。

労働基準法では、休憩を「労働時間の途中に」「一斉に」与えなければならないことを定めてます。これはフレックスタイム制を採用したとしても、適用されるルールとなります。
よってフレックスタイム制を採用する場合は、コアタイムの中で休憩時間を設定する必要があります。
なお、上記の「一斉に」与えなければならないルールについては、労働者代表との間で労使協定を締結することで、ルール適用外とすることが可能です。

具体的には、
① 一斉に休憩を与えない労働者の範囲
② 当該労働者に対する休憩の与え方

について定めた、一斉休憩の適用除外に関する労使協定を締結することになります。

この労使協定は、別途作成・締結してもよいですし、フレックスタイム制を採用する際に締結する労使協定の中に盛り込んで対応することでも問題ありません。

実態は休憩取得時間はバラバラ。しかし一斉休憩の適用除外に関する労使協定を締結していない(もしくはフレックスタイムの労使協定にその旨を盛り込んでいない)ケースが意外と多いですので、必要があれば漏れなく対応しておきたい内容です。


半日単位の年次有給休暇は注意が必要

フレックスタイム制を採用し、かつ半日単位での年次有給休暇取得を認めている会社では、注意が必要です。 例えば、以下のような「コアタイム:10~14時(休憩:12~13時)」「標準となる1日の労働時間:8時間」という会社で、労働者が半日単位の年次有給休暇をコアタイムの時間帯で請求してきた場合、それは有効でしょうか?

フレックスタイム制を採用し、かつ半日単位での年次有給休暇取得を認めている会社の活用例

就業規則にきちんと半日年休の取得に関するルールを定めないと、実はこのような取得も有効になります。つまり、労働者は半日単位で取得しているのに、実質は丸一日働かなくてもよいということが起こり得ます。

なお、年次有給休暇の取得単位ですが、原則は「1日単位」での取得となります。そして、労使協定を締結することにより、「時間単位」での取得も可能となります。

では「半日単位」ですが、実は法律上の規定はありません。
つまり、半日単位での取得を認めるか否か。認めるのであれば、どのような取得ルールとするかは、会社は任意で決めることが可能ということです。

よって、午前半休の場合は午後のコアタイムは必ず勤務すること。午後半休の場合は午前のコアタイムは必ず勤務すること。といったルールを就業規則に定めるということも一案です。

フレックスタイム制を採用し、かつ半日単位での年次有給休暇取得を認めている会社の活用例

自社の働き方にフレックスタイム制は本当に合っている?

フレックスタイム制は柔軟な働き方を実現できる、とても有効な制度です。
一方で、導入時に社内ルールの整備を怠ると、フレックスタイム制を導入した結果、逆に社内が混乱してしまうということも起きかねません。

先ず、そもそも自社の働き方がフレックスタイム制に合っているのか?そして、フレックスタイム制を採用する際に社内ルールをどう整備するか?これらを慎重に検討する必要がありますので、検討の際には専門家に相談して進めることをお勧めします。



KING OF TIME 情報


今回は、フレックスタイム制度を導入するうえで注目すべき機能をご紹介いたします。

◆ フレックスタイム制の設定
◆ 1か月を超えるフレックスタイム制の設定方法
◆ タイムカードのフレックスタイム集計について



フレックスタイム制の設定

通常のフレックスタイム制には、「コアタイム」「フレキシブルタイム」が設けられます。
スケジュールパターンを作成時に「フレックス種別」に「フレックス勤務」を指定します。

フレックスタイム制の設定

☞ フレックスタイム制の設定はどうすればいいですか?

 >>> 詳しくはこちら


1か月を超えるフレックスタイム制の設定方法

2019年4月の労働基準法改正により、フレックスタイム制の「清算期間」が、従来の1か月から最長3か月に延長され、働き方の柔軟性が高まりました。
本製品では、「雇用区分設定 > 変形労働設定 > 変形労働タイプ:フレックス」の設定で対応できます。これにより、清算月数を1か月、2か月、3か月から選択できるようになります。タイムカードでは、「フレックスタイム集計」の項目が表示され、当月清算が必要な残業時間や繰越時間が確認できます。

年管理画面での設定方法

☞ 「3か月のフレックスタイム制」を設定することはできますか?

 >>> 詳しくはこちら


タイムカードのフレックスタイム集計について

雇用区分設定内の変形労働設定で「変形労働タイプ:フレックス」を選択すると、タイムカードにフレックスタイムの集計が表示されます。

1か月を超えるフレックスタイム制の設定方法

☞ フレックスタイム集計項目について

 >>> 詳しくはこちら



本記事が皆様のお役に立てれば幸いです。
次回は、「アルバイトに賞与を支払わないことは違法?~最高裁判決の本当の意味とは~」についてお伝えする予定です。

今後もKING OF TIMEをご愛顧いただけますよう邁進してまいりますので、何卒よろしくお願いいたします。


監修元:社会保険労務士法人 ヒューマンリソースマネージメント