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労務情報

36協定届の押印廃止で協定締結・届出が厳格化される!? ~ 意外と知らない36協定の基本 ~

公開日:2020年10月1日(当記事の内容は公開時点のものです)

監修:社会保険労務士法人 ヒューマンリソースマネージメント
特定社会保険労務士 馬場栄 
監修:社会保険労務士法人
ヒューマンリソースマネージメント
特定社会保険労務士 馬場栄 


36協定届の押印廃止で協定締結・届出が厳格化される!? ~意外と知らない36協定の基本~

今週のピックアップ

【労務情報】
◆ ここに注意!
◆ 様式や手続きの変更点
◆ チェックポイント(過半数代表者の適正な選出)
◆ 適正な36協定締結・届出についての周知・指導の徹底
◆ 誤解などないかチェックしましょう
◆ まとめ(参考)


【KING OF TIME 情報】
◆ 打刻忘れ通知
◆ 未申請残業通知
◆ アラート通知
☞ KING OF TIME 情報は 《 こちら 》


ここに注意!

2020年8月27日の厚生労働省の労働政策審議会労働条件分科会が、36協定を含めた約40種類ある会社の労働関係書類について、押印が必要という原則を見直し、2021年度から法令上も押印または署名を求めない(押印廃止)という方針を了承しました。
かねてからのデジタルガバメントの推進に加え、新型コロナウイルス感染防止を踏まえ、これを契機にアナログ行政を全廃し、テレワークの定着・普及、そして生産性向上などを目的としています。

一見、「手続きが簡素化される」と思われるかもしれませんが、36協定に関して、現在の貴社の締結・届出方法によっては、従前どおり、届出書に押印または署名が必要となりますでの注意が必要です。

それは、労使協定書を作成せず、届出書に押印または署名して労働基準監督署へ届出を行っている場合です。

どういうことかと言うと、36協定に関しては、本来、労使協定を締結(「協定書」を作成)し、労働基準監督署に労使協定の内容を届け出(「届出書」を作成)する流れとなっています(それぞれに押印または署名)。
ただ、36協定の届出書に押印または署名をすることで、これを協定書とする(兼ねる)こともできるため、多くの会社でそのようにされていると思います。

今回の押印廃止は、あくまで行政に提出する「届出書」に対してであり、労使協定を締結する際に必要な労使の押印や署名に及ぶものではないため、届出書で協定書を兼ねている場合、36協定届にも引き続き労使双方の押印または署名が必要となるというわけです。

このような労使協定書と届出書の違いや手続きの流れなどについて十分な理解が進んでおらず、加えて、全ての手続きにおいて押印を廃止したという解釈の誤解が発生し広まっていくのではないかといった懸念から、厚生労働省は今回の見直しと合わせて、「適正な36協定の締結」「届出について周知」「指導を徹底」をしていく方針も示していますので抑えておきましょう。

<参考>昭和53.11.20 基発642号、昭和63.3.14 基発150号、平成11.3.31 基発168号
施行規則第17条第1項の規定により、法第36条第1項の届出は様式第9号によって行えば足り、必ずしも36協定の協定書そのものを提出する必要はないが、 当該協定書は当該事業場に保存しておく必要があること。
また、36協定を書面で結ばすに様式第9号のみを届け出たとしても、時間外労働などを行わせることができないことは言うまでもないこと。
なお、様式第9号に労働者代表の押印などを加えることにより、これを36協定の協定書とすることは差し支えなく、これを届け出ることも差し支えないが、この場合 には、当該協定書の写しを当該事業場に保存しておく必要があること。


様式や手続きの変更点

まず、押印廃止に伴い、様式や手続きはどのように変わるのでしょうか。

(1) 36協定届を含め、押印を求めている法令様式などについては、使用者及び労働者の押印欄の削除する。
(2) 36協定も含め、押印を求めている法令様式のうち、過半数代表者の記載のある法令様式については、様式上にチェックボックスを設けることとする。
(3) 電子申請における電子署名の添付も不要とする。

<参考>厚生労働省HP

☞ 労働条件分科会資料(P.5「様式改正後の36協定届(案)」)

 >>> 詳しくはこちら ※外部リンクに移動します


チェックポイント(過半数代表者の適正な選出)

上記 (2) のチェックボックスの目的は、過半数代表者の適正な選出の徹底やチェックを行えるようにすることです。そして、「この新たに設けられたチェックボックスにチェックがない場合、形式上の要件を備えていないものとする」とされていますので注意が必要です。
これは、押印欄を廃止する代わりに、協定届が使用者の一存で作成されたものではないということを何らかの形で担保できる仕組みが必要不可欠と考えられたためです。

確かに、毎年36協定を提出されている会社でも、過半数代表者の選出方法が適正でなかったり、手間が掛かるなどの理由で会社が進めやすいように代表者を決めるなどしているところも実態としてはあるでしょう。それにも関わらず、毎年行うがゆえに、その内容や方法も特に見直すこと(疑問)もなく、その状態が続いているところも多いのではないでしょうか。

では、チェックを付ける内容はどのようなものか確認してみましょう。

【過半数代表者の適格性の確認】
押印廃止後、法令様式に、協定当事者が適格であることについてのチェックボックスを設け、 使用者がチェックした上で、労働基準監督署長に届け出ることとする。

<過半数労働組合の場合>
(1) 事業場の労働者の過半数で組織されていること

<過半数代表者の場合>
(2) 事業場の労働者の過半数を代表していること
(3) 管理監督者ではないこと
(4) 過半数代表者の選出方法が適正であって、使用者の意向に基づき選出された者でないこと

上記 (2) については、正社員だけでなく、契約社員、嘱託社員、パート・アルバイト、自社在籍の派遣社員、管理監督者や休職中の社員など、すべての社員となります。

上記 (3) について、管理監督者とは、労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にある人を指します。過半数代表者の選出に当たっては、管理監督者に該当する可能性のある方、管理監督者にあたらない場合でも、部長や課長などは、その立場から避けておいた方が無難でしょう。

上記 (4) については、「36協定を締結するための過半数代表者を選出することを明らかにしたうえで、投票、挙手などにより選出すること」が求められており、使用者(事業主や会社)が指名したり、別の目的で代表となった従業員(例えば親睦会の代表など)を36協定締結の代表としたり、そもそも選任を行わず毎年同じ従業員を代表とするなどした場合は、無効となります。

<参考>労働条件分科会資料より
独立行政法人労働政策研究・研修機構「過半数労働組合および過半数代表者に関する調査」(2018年12月)

過半数代表者の選出方法について
○ 投票や挙手・・・・・・・・・・・・・・・・30.9%
○ 信任・・・・・・・・・・・・・・・・・・・22.0%
○ 話し合い・・・・・・・・・・・・・・・・・17.9%
● 親睦会の代表者など、特定の者が自動的になる 6.2%
● 使用者(事業主や会社)が指名・・・・・・・21.4%
など


適正な36協定締結・届出についての周知・指導の徹底

このほかにも、少し前のデータですが、厚生労働省の「平成25年度労働時間等総合実態調査(調査対象:11,575の事業場)」によると、労使協定を締結していない会社割合が49.0%となっています。

事業場の規模が小さいほど36協定を締結していないところや、そもそも締結・届出が必要であることを知らなかったという割合も多くなっています。また、事業場の規模が大きい場合では、締結・届出が必要なことは知りつつも手続きを失念していた割合が多くなってるようです。

こうした状況も踏まえ、繰り返しとなりますが、厚生労働省は今回の見直しと合わせて、「適正な36協定の締結・届出について周知・指導を徹底」していく方針も示したというわけです。

<参考>労働条件分科会資料より
厚生労働省「平成25年度労働時間等総合実態調査」

労使協定を締結していない会社(49.0%)
うち
・事業場規模別
1~30人(51.9%)、31人~100人(12.4%)、101人~300人(6.6%)、301人以上(5.3%)
・労使協定の存在を知らなかった(33.1%)
1~30人(33.3%)、31人~100人(28.6%)、101人~300人(14.9%)、301人以上(3.2%)
・労使協定の締結・届出を失念した(13.6%)
1~30人(13.1%)、31人~100人(47.1%)、101人~300人(42.2%)、301人以上(46.5%)


誤解などないかチェックしましょう

下記は、前述の実態調査で、労使協定を締結していない会社の理由内訳です。

(1) 労使協定の存在を知らなかった・・・・・・・・・・33.1%
(2) 時間外労働・休日労働がない・・・・・・・・・・・45.4%
(3) 就業規則等で規定を設けるだけでよいと思っていた 1.1%
(4) 適用除外だと思っていた・・・・・・・・・・・・・0.9%
(5) 事業場ごとに締結が必要とは知らなかった・・・・・3.8%
(6) 過去締結した労使協定が現在も有効だと思っていた 3.9%
  など
みなさんの会社ではいかがでしょうか?上記にそって簡単に解説いたします。
(1) 労使協定の存在を知らなかった
⇒ 労働基準法では、労働時間は原則として、1日8時間・1週40時間以内とされています。これを「法定労働時間」といいます。 また、休日は原則として、毎週少なくとも1回与えることとされています。
労働者に法定労働時間を超えて時間外労働(残業)や休日労働をさせる場合には、
・労働基準法第36条に基づく労使協定(36協定)の締結
・所轄労働基準監督署長への届出
が必要です。

(2) 時間外労働・休日労働がない
⇒ まったくないのであれば問題ありませんが、残業などをさせる場合は、上記(1)のとおりですので、実際の労働時間が法定労働時間に近かったり、いざというとき(残業や休日出勤する必要が発生した場合)に備えて、あらかじめ届け出しておくことをお勧めいたします。

(3) 就業規則などで規定を設けるだけでよいと思っていた
⇒ 就業規則などに規定があっても上記 (1) の手続きが必要となります。就業規則には、時間外労働や休日労働をさせる(命じる)ために、その旨を規定しておく必要があります。

(4) 適用除外だと思っていた
⇒ 現状、適用が除外されいるのは下記の業務・事業のみです。
 ・新技術・新商品などの研究開発業務
  2024年3月31日まで適用が猶予されているのは下記となります。
 ・建設事業、自動車運転の業務、医師など
  ※運送業などにおいては、あくまで「自動車運転の業務」に携わる方が適用除外であり、事務の方などは適用されます。また病院などでは「医師」のみが適用除外であり、看護師の方などは適用されるため、注意が必要です。

(5) 事業場ごとに締結が必要とは知らなかった
⇒ 事業所規模(人数)に関わりなく、時間外労働や休日労働をおこなわせる場合は、本社、支店、営業所、工場、店舗など事業場単位で必要となります。

(6) 過去締結した労使協定が現在も有効だと思っていた
⇒ 労使協定は有効期間を決めて締結します。残業などを行わせる対象期間も定める必要があり、これは起算日から1年となりますので、届け出は毎年行う必要があります。


まとめ(参考)

36協定については、時間外労働の上限規制で書式も変わっています。(大企業2019年4月~、中小企業2020年4月~)36協定を出している会社も出していない会社も、改めて36協定の手続きなどについてチェックしておきましょう。


<参考>厚生労働省HP

☞ 36協定の締結当事者となる過半数代表者の適正な選出を!

 >>> 詳しくはこちら ※外部リンクに移動します

☞ 事業主・労働者の皆さまへ

 >>> 詳しくはこちら ※外部リンクに移動します

☞ 36協定で定める時間外労働及び休日労働 について留意すべき事項に関する指針

 >>> 詳しくはこちら ※外部リンクに移動します

☞ 時間外労働の上限規制 わかりやすい解説

 >>> 詳しくはこちら ※外部リンクに移動します



KING OF TIME 情報


今回は、下記3点の通知機能をご紹介します。

◆ 打刻忘れ通知
◆ 未申請残業通知
◆ アラート通知



打刻忘れ通知

出勤・退勤打刻、休憩開始・終了打刻を忘れてしまい、締め日に管理者が締め作業を行なえないといったことがあるかと存じます。
出勤・退勤予定時間、休憩開始・終了予定時間を基準に、打刻をしなければいけない時間の前後に通知を送ることができます。

打刻忘れ通知


☞ 打刻忘れをメール通知できますか?

 >>> 詳しくはこちら



未申請残業通知

残業時間の申請を忘れてしまうと、残業代の未払いに繋がり大事になってしまいます。残業時間の申請漏れの防止に効果的です。従業員自身だけでなく、管理者にも送信できるため、より残業時間の管理が厳格に行なえます。

未申請残業通知

☞ 申請や承認がされていない残業時間を把握することはできますか?

 >>> 詳しくはこちら



アラート通知

「残業時間が月30時間を超過したら通知する」などのように、勤務時間や出勤日数などを元に任意のアラート基準を設定し、その基準に合致した場合にメール通知できます。アラート基準同士を組み合わせることもできます。

アラート通知

☞ 勤務が一定時間、日数を越えた場合、メールで通知することはできますか?

 >>> 詳しくはこちら



本記事が皆様のお役に立てれば幸いです。
次回は、「 間違えて運用していませんか? 振替休日・代休の運用 」についてお伝えする予定です。

今後もKING OF TIMEをご愛顧いただけますよう邁進してまいりますので、何卒よろしくお願いいたします。


監修元:社会保険労務士法人 ヒューマンリソースマネージメント