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労務情報

残業申請制度を採用する際のポイント

公開日:2020年6月4日(当記事の内容は公開時点のものです)

監修:社会保険労務士法人 ヒューマンリソースマネージメント
特定社会保険労務士 馬場栄 
監修:社会保険労務士法人
ヒューマンリソースマネージメント
特定社会保険労務士 馬場栄 


残業申請制度を採用する際のポイント

今週のピックアップ

【労務情報】
◆ 労働時間とは?
◆ 休憩時間と労働時間の違い
◆ 未申請残業の時間が労働時間になるか争われた裁判例
◆ 会社が裁判に負けた理由
◆ 残業申請制度を採用する際のポイント

【KING OF TIME 情報】
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◆ 給与計算サービスとの連携
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労働時間とは?

はじめに「労働時間」とは、どのような時間のことを意味するのか説明したいと思います。
労働時間とは、会社の指揮命令下にあり、労働者が自由に利用できない時間のことを意味します。
会社にいる時間のうち、上記とは逆の時間。つまり、会社の指揮命令下になく、労働から離れて労働者が自由に利用できる時間のことを休憩時間といいます。

<ご参考>

☞ 改めて考えたい、労働時間と拘束時間の違いと重要性

 >>> 詳しくはこちら

なお、労働時間に該当するかを判断するにあたって、現実に必ずしも「精神的・肉体的な活動を行っている」ということは要件にはなっておりません。


休憩時間と労働時間の違い

では、休憩時間とはどのような時間なのでしょうか?
休憩時間とは、単に作業に従事しない、いわゆる手待時間(待機時間)は含まず、労働者が権利として労働から離れることを保障されている時間のことを意味します。

例えば、小売業店舗のレジ打ち業務に従事する方で、お店にお客様が1人もおらず他の業務も何もしていない時間については、実際に仕事をしている訳ではなく、また精神的・肉体的な活動を行っている訳ではありません。

しかし、労働者が自由に利用できない時間(持ち場を離れて、好きなことが出来ない時間)ですので、このような時間は休憩時間ではなく、いわゆる手待時間(待機時間)として労働時間にカウントされることになります。


未申請残業の時間が労働時間になるか争われた裁判例

それでは、残業申請制度を採用している会社で、労働者が申請を行わず勝手に残業している時間について、「申請がない場合は、会社が残業することを認めていないので、その時間は会社の指揮命令下にある時間ではない。」つまり、労働時間ではないと会社が主張した場合、それは認められるのでしょうか?
未申請残業の時間が、労働時間になるか争われた裁判について説明したいと思います。

A社事件(東京地裁 平成30年3月28日)
・A社では残業申請制度を採用し、午後7時以降に残業を行う場合には、所定終業時刻(18時)までに残業時間等を申告した上で申請を行い、承認を得る必要があった。
・A社で働く労働者Bは、残業申請を行わず恒常的に残業を行っていた。
・A社は申請がない残業は労働時間としてカウントせず、よって残業代を支払っていなかった。
・労働者Bは、残業申請はしていないが実際に働いており、その時間に対する未払い賃金を支払うよう、A社を訴えた。

この事件で、裁判官は労働者Bの主張を認め、A社に対して未払い賃金を支払うよう命じました。
なぜ、会社は裁判で負けてしまったのでしょうか?

会社が裁判に負けた理由

労働者Bの労働は、以下のような実態がありました。

・労働者Bの業務は、多い日で1日70通以上のメール作成・送信、顧客対応、打合せ、新人指導等、業務内容は多岐にわたり、残業は常態化しており深夜まで残業をすることもあった。
・労働者Bの勤続年数は長かったが、他の労働者は比較的短期間で退職する者が多く、同僚等に業務を分担してもらうことも難しかった。

そのような実態をもとに、裁判官は

・A社は労働者Bに対して、所定労働時間内に業務を終了させることが困難な量の業務を行わせていた。
・その事実からすると、残業申請の有無にかかわらず、労働者Bは少なくとも「会社の黙示の指示」に基づいて働いていたと認められる。
・よって、その時間については「会社の指揮命令下」に置かれていたと認めるのが相当である。

との判断で、未申請の残業時間を労働時間として認定しました。

他には、A社の社長が残業申請が必要な時間である午後7時以降も労働者Bが会社で働いている姿を見ていること、夜中に労働者Bからメールが届いている事実を認識していること等、残業申請をしていないにもかかわらず労働者Bが働いていることを、A社の社長が認識していることも判決の内容に影響を与えています。

つまり、残業について申請がされていないという事実だけで、労働時間としての性質を否定するのではなく、労働者Bの業務実態が残業を必要とするような内容だったか否か、という点を考慮していることに特徴があります。


残業申請制度を採用する際のポイント

このA社での裁判以外にも、労働時間の認定について争われた裁判は数多く、これら裁判例から、残業申請制度を導入し、会社が未申請残業時間について労働時間として認めないためには、下記のような対応が必要となります。

・形式的に残業申請制度を導入するだけではダメで、会社としてルールは厳格に運用する必要があること。
・残業申請を行っていない社員に対しては、きちんとルールを守るように指導を行うこと。
・従業員が行った残業申請を承認しないのであれば、なぜその申請は承認しないのか、その理由をきちんと説明し、改善のための指導を行うこと。
・残業削減を個人任せにするのではなく、業務の見直しなど、会社としても取組みを行うこと。

これらのことからKING OF TIMEの未申請残業通知機能を利用しきちんと管理をすること、勤怠確認機能を利用し在社時間と労働時間の差を従業員本人にも確認してもらうプロセスを踏むこと等も、会社として取れる有効な選択肢になり得ます。

ただし、システムの設定のみ行えばよい、というものではありませんので、遅くまで働いている社員に声掛けをする等の、人対人のアナログな対応も、とても重要です。




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今回は、給与計算に関連のある、以下の機能についてご案内します。
以前にもご案内したことがありますが、設定内容を見直す際にお役に立てれば幸いです。

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本システムでは人件費の概算を出力できますが、時間給・日給の単価割増率も設定できます。
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勤怠データは給与計算サービスと連携することもできます。

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詳しくは、以下のヘルプをご参照ください。


☞ マネーフォワードクラウド給与と連携するにはどうすればよいですか?

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☞ 給与前払いサービス「CYURICA」と連携するにはどうすればよいですか?

 >>> 詳しくはこちら

☞ 「人事労務freee」と連携するにはどうすればよいですか?

 >>> 詳しくはこちら



本記事が皆様のお役に立てれば幸いです。
今後もKING OF TIMEをご愛顧いただけますよう邁進してまいりますので、何卒よろしくお願いいたします。


監修元:社会保険労務士法人 ヒューマンリソースマネージメント