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労務情報

社員を守る、もしもの時の傷病手当金 〜法改正情報、公的制度(賞与年4回含む)の活用方法他〜

公開日:2021年8月12日(当記事の内容は公開時点のものです)

監修:社会保険労務士法人 ヒューマンリソースマネージメント
特定社会保険労務士 馬場栄 
監修:社会保険労務士法人
ヒューマンリソースマネージメント
特定社会保険労務士 馬場栄 


社員を守る、もしもの時の傷病手当金 〜法改正情報、公的制度(賞与年4回含む)の活用方法他〜

今週のピックアップ

【労務情報】
◆傷病手当金に関する法改正
◆法改正の背景
◆傷病手当金の支給要件
◆支給される額
◆賞与年4回で傷病手当金の支給額が上がる?
◆退職後の継続給付について
◆短時間労働者の社会保険適用のルール

【KING OF TIME 情報】
◆対応が必要な処理とは
◆対応が必要な処理に表示される内容(標準の表示)
☞ KING OF TIME 情報は 《 こちら 》


傷病手当金に関する法改正

健康保険法の改正により、2022年1月から、傷病手当金の支給期間の扱いが変更となります。具体的には、要件を満たせば、通算して1年6か月分の傷病手当金を受けられるようになります。

現行制度では、支給を受けられる期間が、支給開始された日から1年6か月と区切られているため、この期間内で、要件を満たした日数に応じて手当の支給を受けられますが、必ずしも1年6か月分の手当が受けられるというわけではありません。

例えば、1年休職し、仕事に復帰し6か月過ぎたところで、再び同じ病気やケガにより仕事に就けなくなった場合などは、支給開始日から1年6か月過ぎているため、その後は、傷病手当金は受けられません。
休職と復帰を繰り返すような場合も、休職期間中は支給されますが、1年6か月過ぎると、実質1年6か月分の給付を受けていなくても、以降は、手当が受けられないと言うことです。

<参考>全世代対応型の社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律案の概要 (厚生労働省)
1(2)傷病手当金の通算化
>>>詳しくはこちら


法改正の背景

働き方改革の中に、治療と仕事の両立支援というものがあります。
これは、企業における雇用環境改善の促進等に加え、保健医療施策や福祉施策等との連携を含めた総合的かつ横断的な対策を実施するというものです。

病気を治療しながら仕事をしている方が、労働人口の3人に1人と多数を占め、
仕事を続けていても、仕事の両立が困難な状況に直面している方々が多く
・病気を理由に仕事を辞めざるを得ない方々もいる
という状況があり、この問題の解決のためには、まず、会社の意識改革と受入れ体制の整備が必要とされています。

このため、
・経営トップ、管理職等の意識改革や両立を可能とする社内制度の整備を促す。

・会社向けの疾患別サポートマニュアルを新たに作成し、会社の人事労務担当者に対する研修の実施等によりその普及を図る。

・加えて、企業トップ自らがリーダーシップを発揮し、働く人の心身の健康の保持増進を経営課題として明確に位置づけ、病気の治療と仕事の両立支援を含め積極的に取り組むことを強力に推進する。
とされています。

<参考>傷病手当金 社会保障審議会医療保険部会資料(厚生労働省)
>>>詳しくはこちら

<参考>事業場における治療と仕事の両立支援のためのガイドライン(厚生労働省)
>>>詳しくはこちら

傷病手当金の支給要件

ご承知のとおり、傷病手当金は、健康保険に加入している従業員(被保険者)が、病気やけがのために会社を休んでいる期間中の生活を保障するための制度で、下記の要件を満たすと支給されます。

①療養中であること
業務外での病気やケガが対象です。業務上・通勤災害によるもの(労災保険の給付対象)や病気と見なされないもの(美容整形など)は対象外です。

②仕事に就くことができないこと
仕事に就くことができない状態の判定は、医師の意見等を基に、被保険者の仕事の内容を考慮して判断されます。

③4日以上休んでいること
3日連続して休んでいること(待期期間)を満たしたうえで、4日目の休みから支給されます。待期期間には、元々、会社が休みであった日(土日、祝日など)や有給休暇も含めることができます。給与の支払いがあったかどうかは関係ありません。

④休業期間中、給与の支払いがないこと
傷病手当金が生活保障を行う制度のため、給与が支払われている間は、支給されません。ただし、給与の支払いがあっても、傷病手当金の額よりも少ない場合は、その差額が支給されます。

☞<参考>病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)(協会けんぽ㏋)
>>>詳しくはこちら

支給される額

1日当たりの支給額は、およそ月々の給与(標準報酬月額)を日額に換算し、その3分の2程度となります。(詳細は下記のとおりです)

健康保険料もこの標準報酬月額をベースに算出され納めますが、健康保険料は、賞与を支給した際も支給額に応じて納める必要があります。しかし、傷病手当金は、前述のとおり、あくまで標準報酬月額がベースとなり、賞与については、手当の支給額に反映されません。

<傷病手当金支給額(1日あたり)の算出方法>
支給開始日以前の直近の継続した12か月の各月の標準報酬月額の平均額÷30×2/3

被保険者期間が12か月に満たない場合は、
①対象者の資格取得月から支給開始月までの各月の標準報酬月額の平均額
②対象者の属する保険者の全被保険者の標準報酬月額の平均額

☞<参考>病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)(協会けんぽ㏋)
>>>詳しくはこちら

賞与年4回で傷病手当金の支給額が上がる?

さまざまな観点があるため、一概に良し悪しは言えませんが、傷病手当金の支給額だけについて見てみると、賞与の有無に関わらず、年収が同じ場合、毎月の給与が高い方が、いざというときの生活保障となる傷病手当金の金額も高くなるため、従業員にとっては安心材料となりえます。

その方法のひとつとして、賞与を年4回以上とし、賞与支給額を標準報酬月額に反映させる方法があります。年4回以上支給される賞与は社会保険上の「報酬」となるため、通常の給与である報酬月額に加算して標準報酬月額を決定します。

つまり、7月~翌年6月に支給された賞与の合計金額を12等分したものを報酬月額に加算をして算定しますので、賞与額にもよりますが、標準報酬月額は上がることになります。結果、傷病手当金の支給額も上げるというわけです。

例えば、すでに年俸制で16分割して支給している会社や、評価期間を四半期ごとに区切って行っている会社などは、比較的導入しやすいと考えられます。成果(変動)の比重を高め、毎月の給与を抑え気味にし、賞与に大きく反映させている会社などでは、単純に賞与分を毎月の給与に振り分けると、人件費の固定部分の比重が高まったり、会社の裁量部分が小さくなるため、制度変更による他への影響も大きいと考えられますので、なかなかすぐにと言うわけにはいかないでしょう。

導入の条件は下記のとおりとなります。
①賞与が年4回以上支給されることが、就業規則や賃金規程に定められていること。
規程に定めがなく、例外的にその年だけ支給された賞与はカウントされません。また、通常は1回で支給している賞与を分割して2回支給したとしても、1回のカウントとなります。

②「性質が同じ賞与」が年4回以上支給される必要があります。
例えば、通常の夏季・冬季賞与と会社の業績がよかったことにより支給する決算・業績賞与などのように性質が違う場合は、支給回数は通算されず、同じ性質の賞与ごとのカウントとなります。

運用面においては、算定や随時改定の際に、賞与額を反映させた賃金で手続きを行う必要があります。 ご検討の場合は、導入のタイミングや切り替え時期の考え方など少し難しいため、行政や専門家に相談して進めることをお勧めします。

☞<参考>【事業主の皆様へ】報酬・賞与の区分が明確化されます(日本年金機構㏋
>>>詳しくはこちら

退職後の継続給付について

健康保険に加入している従業員(被保険者)が、退職(資格喪失)した場合、一定の要件を満たすと退職後も傷病手当金の支給を受けられます。

①退職日までに、被保険者期間が継続して1年以上ある。
在職中は、1年未満でも受給可能です。
②退職日に現に傷病手当金を受けている。
退職日の前日までに連続して3日以上休んだ期間があり(待期期間の完成)かつ退職日も休んでいる必要があります。そのため、最終日に出勤してもらい引継ぎ業務等行ってもらう(給与が発生する)と対象外となる場合があるため注意が必要です。
③在籍中と同一の傷病により、退職後も引き続き労務不能状態が続いていること
失業保険は、働く意思や能力があるが(就労可能の状態だが)、仕事に就くことができない場合に支給されるものであるため、失業保険を受けられる場合は受給できません。
④労務不能期間が継続していること
退職後は断続しての受給はできません。

☞<参考>傷病手当金について:Q&A(協会けんぽ㏋)
>>>詳しくはこちら

短時間労働者の社会保険適用のルール

傷病手当金は原則、健康保険に加入している従業員が対象となるため、パートやアルバイトで社会保険加入の対象外の方については支給されません。 パートやアルバイトの方の中でも、社会保険に加入したいという方がいる一方で、保険料の負担を嫌い、加入対象とならない範囲での勤務を希望される方もいます。

今後、社会保険の適用拡大が予定されていますが、その際に、後者の方からは加入したくないという反応も予想されます。それに対し、会社としては、保険加入の必要性を説明する必要もありますが、そのメリットも丁寧に伝えることで、対象者の方の納得感や安心感も得られるのではないでしょうか。また、パート・アルバイトの方が私傷病でしばらく働けなくなった場合など、いざという時の対応方法の幅も広がりますので、トラブル軽減にもつながるでしょう。

会社負担も増え、厳しい面もありますが、対応しなければならない以上、前向きにとらえ、制度を有効に活用できれば、直接は見えづらいかもしれませんが、負担以上の効果が得られると言えるのではないでしょうか。

現在(法改正前)の短時間労働者の社会保険適用のルール

1.常時500人以下の被保険者を使用する企業の場合
「週の所定労働時間」および「1か月の所定労働日数」が、同一の事業所に使用される通常の労働者(いわゆる正社員)の所定労働時間および所定労働に数の4分の3以上の者が対象。

2.常時501人以上の被保険者を使用する企業の場合(特定適用事業所)
4分の3基準を満たさない場合でも、以下①~④の要件を満たす者は対象。

①週の所定労働時間が20時間以上
②賃金の月額が8.8万円以上
③学生でない
④雇用期間が継続して1年以上見込まれる

■2022年(令和4年)10月からの新ルール

・特定適用事業所の企業規模要件が「501人以上」から「101人以上」の被保険者を使用する企業に拡大

・雇用期間が継続して「1年以上」から「2か月以上」見込まれる者に拡大

■2024年(令和6年)10月からの新ルール

・特定適用事業所の企業規模要件が「101人以上」から「51人以上」の被保険者を使用する企業に更に拡大

☞<参考>【法改正情報】短時間労働者の社会保険適用拡大(過去ブログ)
>>>詳しくはこちら




KING OF TIME 情報


2週にわたって「対応が必要な処理」についてご案内します。
今回は管理者設定と申請承認フロー設定の登録によって標準で表示される内容を、
次回はオプションなどの設定によって表示される内容をご紹介します。

◆対応が必要な処理とは
◆対応が必要な処理に表示される内容(標準の表示)

対応が必要な処理とは

管理画面にて、自分が承認すべき申請、管理権限のある従業員の不整合が起きているエラー勤務や年5日有休取得義務などの警告を表示します。

オプションの設定によって表示/非表示を選択できる項目もあります。

ログイン直後は、自動取得により最新の状態が表示されます。
画面操作中に最新の状態を確認するには、[更新]ボタンをクリックしてください。

※ログイン後、もしくは[更新]ボタンをクリック後、5秒間は[更新]ボタンがグレーアウトされます。5秒経つと、[更新]ボタンがクリックできるようになります。

対応が必要な処理に表示される内容(標準の表示)

標準の表示は以下の4項目になります。
1年単位の変形労働設定

1.各種申請
従業員がスケジュール・打刻・時間外の申請をした際に、申請承認フローに登録されている管理者のログイン画面に表示します。 申請内容をご確認のうえ、承認または棄却の処理をお願いいたします。
※全権管理者であっても申請承認フローに登録がない場合は表示されません。

☞ 「申請承認」の操作方法
>>>詳しくはこちら

2.在職外勤務
入社前及び退職後に存在する勤怠データ(打刻やスケジュール)が存在する従業員がいる場合に表示します。 対象従業員の入社日または退職日を調整するか、入社前及び退職後に存在する勤怠データの削除をお願いいたします。
※管理者設定で「従業員設定」が「×権限なし」の場合は表示されません。

☞在職外勤務(入社前や退職後)の勤怠データを一括削除することはできますか?
>>>詳しくはこちら

3.打刻エラー勤務
出退勤打刻のペアが揃っていない、または打刻が重複しているなどの不整合な勤務の従業員がいる場合に表示します。 エラー内容をご確認のうえ、修正または従業員へ勤務状況の確認をお願いします。
※管理者設定で「実績・打刻」が「×権限なし」の場合は表示されません。

4.休暇残数不足
休暇が残日数以上に取得されている場合に表示します。全メニュー「休暇管理」にて、付与により残数を調整するか、正しい休暇取得でない場合は休暇取得の削除をお願いいたします。
※管理者設定で「実績・打刻」が「×権限なし」の場合は表示されません。

☞「エラー勤務」に表示されるのは、どのような勤怠ですか?
>>>詳しくはこちら

本記事が皆様のお役に立てれば幸いです。
今後もKING OF TIMEをご愛顧いただけますよう邁進してまいりますので、何卒よろしくお願いいたします。


監修元:社会保険労務士法人 ヒューマンリソースマネージメント

 
 
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