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労務情報

意外なところに落とし穴?定額残業制のポイント

公開日:2020年7月2日(当記事の内容は公開時点のものです)

監修:社会保険労務士法人 ヒューマンリソースマネージメント
特定社会保険労務士 馬場栄 
監修:社会保険労務士法人
ヒューマンリソースマネージメント
特定社会保険労務士 馬場栄 


意外なところに落とし穴?定額残業制のポイント

今週のピックアップ

【労務情報】
◆ 定額残業制は違法か?
◆ 組込み型と手当型
◆ 定額残業制は何時間分まで設定できる?
◆ 定額残業制を運用する際のポイント

【KING OF TIME 情報】
◆ 申請承認フローをCSVデータインポート
◆ エラー勤務通知の再通知機能
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定額残業制は違法か?

定額残業制とは、あらかじめ毎月の給与額の中に定額の残業代を支払う仕組みのことをいいます。
本来、残業代は残業時間に比例するものですが、毎月〇〇時間残業したものとみなし、残業代の額を固定して支払う制度になりますので「固定残業制」や「みなし残業制」といった名称で呼ばれることもあります。

定額残業制そのものは労働基準法で規定されていているルールではありません。
ですが、過去の裁判例で、定額残業制という制度自体は労働基準法違反ではないとの判決が出ており、きちんと運用さえすれば全く問題のない制度になります。


組込み型と手当型

定額残業制の運用を大別すると、「組込み型」と「手当型」の2パターンがあります。

組込み型とは、基本給の中に残業代を組込むタイプの定額残業制です。
例えば、
・基本給:〇〇円(時間外労働に対する割増賃金を含む)
といったものです。

一方で手当型とは、基本給とは別に手当を設け、定額残業代を支払うタイプです。
例えば、
・基本給:〇〇円
・定額残業手当:□□円

といったものです。

組込み型・手当型のどちらの方法を採用してもよいのですが、組込み型を採用する場合には注意が必要です。以下、組込み型を採用した会社での裁判例をご紹介します。

***************************

<A社事件(最高裁 平成29年7月7日判決)>
A社に勤務する社員Bは、年俸1,700万円で、毎月の支給額は120万円(基本給86万円、手当34万円)、残りの金額は賞与で支払う旨の雇用契約を締結しました。
雇用契約書には、時間外労働に対する割増賃金は年俸に含む旨の記載(組込み型)がありましたが、年俸のうち割増賃金が幾らなのかについての記載はありませんでした。

社員Bは、自身の残業代が支払われていないとしてA社を提訴。
以下の最高裁判所の判断により、会社は敗訴しました。

・年俸1700万円のうち、時間外労働に対する割増賃金がいくらなのかが明確ではない。
・定額残業制は、通常の労働時間の賃金にあたる部分と、割増賃金に当たる部分とを判別することができること(明確区分性)が必要。
・よって、社員Bに対して時間外労働に対する割増賃金を支払ったことにはならない。

***************************

私どもが今まで就業規則改定や作成の相談に携わった企業の中で、組込み型の定額残業制を採用している場合、上記のA社のように明確区分性が担保されていないケースが大半であるとの印象です。
そのような運用をされている場合は、割増賃金に当たる部分が幾らで、何時間分の残業に相当するかを記載することを強くお勧めします。

なお、割増賃金の金額、残業時間数を記載していたとしても、以下のような運用をしている場合も注意が必要です。

基本給:〇〇円(うち、□□円は▲▲時間分の時間外労働・深夜労働・法定休日に対する割増賃金を含む)

このような運用をしている会社も意外と多いのですが、この記載だと時間外労働に対する割増賃金・時間数と、深夜労働、法定休日労働に対するそれとの区別がつきません。
このような定額残業制を否認した裁判例もあります。(東京地裁 平成25年4月23日判決)

わかりやすさの観点で、組込み型ではなく手当型で運用することをお勧めします。


定額残業制は何時間分まで設定できる?

定額残業制は、あらかじめ何時間分まで設定することが可能でしょうか?
前述しましたとおり、定額残業制そのものは労働基準法で規定されていているルールではありませんので、設定できる上限時間数についても法律で決められてはおりません。

よって司法の場でケースごとに判断されるわけですが、色で例えると、設定する時間数が少なければホワイトで、時間数が多くなればなる程、グレーからブラックに変わってくるといったイメージになります。

なお、最近の裁判例では、時間外労働70時間に相当する定額残業制が認められたというものもあります。(東京高裁 平成28年1月27日判決)

しかし、昨年からスタートしました時間外上限規制(中小企業は今年4月から)や、安全配慮義務等を考慮しますと、長時間の定額残業制を採用することは決して好ましくなく、目安としては最大でも45時間(=36協定の上限時間数)とすることをお勧めしております。


定額残業制を運用する際のポイント

定額残業制の有効性が争われ、仮に会社が敗訴した場合、未払い残業代リスクという観点で会社に与える影響は決して小さくありません。
そのようなリスクを防ぐためにも、定額残業制を採用する際には、以下のポイントを押さえて運用しましょう。

1.通常の労働時間の賃金にあたる部分と、割増賃金に当たる部分とを区別する
時間数や金額をわかるように区分する。時間外労働・深夜労働・休日労働も分ける。そのために、定額残業手当、定額深夜手当など、1つの手当に対して1つの割増賃金の性質を持たせたほうがよいです。また前述の通り、組込み型ではなく手当型とすることをお勧めします。

2.手当の名称は、定額残業代だと誰が見てもわかるものにする
業務手当や営業手当などの名称で定額残業制を採用している会社もありますが、労働者の誤解がもとでトラブルに発展することも少なくありません。
労働者や裁判官など、誰が見てもこの手当が定額残業代だとわかる、シンプルな名称とした方がよいです。

3.給与規程、雇用契約書にきちんと記載する
客観的書類が整っていないと、全く意味がありません。給与規程には、定額残業代であることをきちんと定義します。そして、雇用契約書には金額・時間数を明記します。

4.雇用契約書を締結する際は、きちんと内容を説明する
定額残業制の問題にかかわらず、労務トラブルは「言った」「聞いていない」といったものがほとんどです。雇入れ時は労働条件通知書の交付でも法律上は問題ありませんが、労使双方が合意をした証として、雇用契約書を2部作成することをお勧めします。

5.設定した時間数を超過して働いた場合、差額分はきちんと支給する
これをきちんと行わないと、最悪のケースでは定額残業制そのものが否認されます。つまり残業代を一切支払っていなかった、ということになります。KING OF TIMEできちんと時間管理を行い、超過分は当該勤怠計算期間の給与支払日に清算しましょう。

6.給与明細にも金額がわかるように記載する
給与規程や雇用契約書には明確に記載しているものの、給与明細は分けずに基本給のみで記載しているケースをたまに見かけます。給与規程や雇用契約書を毎月見る社員はいませんが、給与明細は必ず毎月見ます。規程・契約書の内容と同じ内容にする。差額支給する月は、差額支給している旨がわかるように記載します(例:超過残業手当〇〇円)。 給与明細に残業時間数を記載することは義務ではありませんが、より丁寧に対応するのであれば時間数も記載することを検討してもよいでしょう。



KING OF TIME 情報


今回は、6月16日のバージョンアップリリースで追加された、以下の機能をご案内します。

◆ 申請承認フローをCSVデータインポート
◆ エラー勤務通知の再通知機能



申請承認フローをCSVデータインポート

リリース以前は、申請承認フロー設定を設定する場合、画面上で1所属ずつの設定が必要でした。
所属数が多いと設定作業に手間がかかるので、データインポートで設定できるようになりました。設定に要する時間を短縮できます。

申請承認フローをCSVデータインポート

☞ 申請承認フローをインポートで設定できますか?

 >>> 詳しくはこちら



エラー勤務通知の再通知機能

リリース以前は、エラー勤務通知は「前日」の勤怠にエラーがあった場合、1回しか通知できませんでした。それ以降は通知されないため、修正されないまま放置されたエラー勤務が、勤怠締め作業を妨げていました。
こちらを解消するため、対象期間を「前日」から「過去30日」に、回数を「1回」から「最大3回」通知できるようになりました。

エラー勤務通知の再通知機能

☞ エラー勤務があった場合、メールで通知できますか?

 >>> 詳しくはこちら



本記事が皆様のお役に立てれば幸いです。
今後もKING OF TIMEをご愛顧いただけますよう邁進してまいりますので、何卒よろしくお願いいたします。


監修元:社会保険労務士法人 ヒューマンリソースマネージメント