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労務情報

就業規則は毎年見直しましょう(その1)

公開日:2020年4月16日(当記事の内容は公開時点のものです)

監修:社会保険労務士法人 ヒューマンリソースマネージメント
特定社会保険労務士 馬場栄
監修:社会保険労務士法人
ヒューマンリソースマネージメント
特定社会保険労務士 馬場栄


就業規則は毎年見直し➀

今週のピックアップ

【労務情報】
◆ 就業規則見直しの必要性(企業を取り巻く環境)
◆ 就業規則見直しの必要性(リスク)
◆ 法改正対応
◆ 時代や環境の変化

【KING OF TIME 情報】
◆ 有給休暇などの休暇付与方法
◆ 従業員からの申請
☞ KING OF TIME 情報は 《 こちら 》


就業規則見直しの必要性(企業を取り巻く環境)

働き方改革の推進にともない、特に近年は労働関係の法改正が相次いでいます。
加えて、近年のインターネットやSNSの普及もあり、労働に関する法律、環境や条件等に関する世間や社員の意識、関心や情報の量、レベルも高まってきています。

そうした影響もあってか、都道府県労働局、各労働基準監督署内等に設置された総合労働相談コーナーに寄せられた相談件数は11年連続で100万件を超え、高止まりしています。

こうした環境において、会社はより丁寧にコンプライアンス対応や労務管理をおこなっていくことが求められてきています。


就業規則見直しの必要性(リスク)

1.法改正
2.時代や環境の変化


法律の改正や会社を取り巻く環境の変化等を踏まえ、就業規則も見直し、必要に応じて変更しておかなければなりません。

なぜなら、就業規則とは、会社のルールを示すものであり、トラブルの発生を抑止するとともに、トラブルが起きた際には対応の拠り所となるものです。
それが法律や時流に即していない場合はどうでしょうか?会社にとって下記のようなリスクが考えられます。

・就業規則を守っていても法律にそくしていないことで法違反を犯してしまう。
・ルールが古いままであったり、決まりがなく場当たり的な対応となってしまう。またそれにより社員に不信感を与えてしまう。
・ルールがないためトラブルが起きてしまう。
・トラブルが起きた際に基となるルールがなく(古く)対処できない。
など

また会社内のルールも実態の変化や変更に応じて、見直しや変更をしておく必要があります。これを怠ると、こちらも同様に思わぬトラブルに見舞われたり、トラブルが起きた際の対応が取れなくなる恐れがあります。

その他にも
3.会社ルールの変更
就業時間や休日数などが変更しているが就業規則は古いまま。

4.雇用形態変更
正社員だけだったが、新たにパート、アルバイト、嘱託社員を雇用したがそれら社員に対する就業規則がない。

5.勤務形態変更
過去は1日8時間、週5日勤務だけだったが、現在では、時短、変形労働制(1か月、1年、フレックス)、テレワークなど別の形で勤務させてはいるが、就業規則に記載がない。

などのご状況にある会社もあるのではないでしょうか?

以下で見直しのポイントを見ていきましょう。
(今回は、1.法改正2.時代・環境の変化についてお届けいたします)


1.法改正対応

就業規則見直しの必要性について、一番分かりやすい理由としては、労働基準法等、法律の改正に対応することが挙げられます。

下記は近年の主な法改正の一覧です。
特にこの2019年、2020年は働き方改革に関連し、改正・施行(予定含む)が多くおこなわれています。

法改正の一覧

法改正の情報を常々キャッチしておかないと前述のようなリスクがあります。

また、法律の中には就業規則に記載することや労使協定を締結することにより、初めて会社がおこなえるというものもあります。

例えば、有給休暇5日の取得義務に関しては、会社の時季指定権(会社が社員に有休の希望を聞いたうえで、取得日を決められる)も認められることとなりました。しかし、これは就業規則に規定していなければ行使できません。

法改正対応に際しては、法改正の情報を得て、単に就業規則に入れるだけでなく、法改正内容をよく理解し、会社の状況に応じて必要か否か、また運用方法など検討のうえ、就業規則に落とし込む必要があります。
ご担当の方が通常の業務に加え、情報収集し、検討を進めるのは現実的には難しいと考えられます。できれば専門家など外部リソースを活用した方が効率の面からもよいと思います。

※情報収集の一助として、下記ご活用ください。

☞ 厚労省人事労務マガジン

 >>> 詳しくはこちら
 ※別サイトに推移します。


就業規則未変更は労働基準監督署の調査対象になる?
なお、有給休暇については、平成31年の地方労働行政の基本方針に「有給休暇の取得促進」が盛り込まれています。
行政は、特に中小企業において、なかなか社員の自由にまかせて5日取得させることは難しい、会社が日を指定して取らせなければ(時季指定権を使わなければ)達成はできないであろうと考えていることもうかがえます。

つまり、時季指定に関して就業規則に記載する=就業規則を変更する(届け出る)。変更(届け出)しないのは、そうした制度があることを知らないのではないか。であれば指導してあげよう(場合によっては、就業規則を変更していない会社は本気で取らせるつもりがないのではないか?)と、この1~2年で就業規則の変更をおこなっていない会社を調査の対象にすることも予想されます。

その点からもこの機会にぜひ就業規則の見直しをおこない、必要に応じてアップデートをおこないましょう。


2.時代や環境の変化

冒頭でも記載しましたが、都道府県労働局、各労働基準監督署内等に設置された総合労働相談コーナーに寄せられる相談件数は11年連続で100万件を超え、高止まりしております。
2018年度は総合労働相談件数 111万7,983件( 前年度比 1.2%増)
うち民事上の個別労働紛争については、相談件数 26万6,535件( 同 5.3%増)となっています。

ここで注目したいのが、相談件数(民事上の個別労働紛争)の上位は、10年ほど前は解雇や労働条件の引き下げでしたが、今ではいじめや嫌がらせ(ハラスメント)、自己都合退職に関わるものが占めています。

つまり景気の影響などを受け、過去は会社の業績が悪く辞めさせられた(解雇)相談から、現在では人手不足で辞めさせてもらえない(自己都合退職)相談に変わってきていると考えられます。

また、今まで問題が表面化しなかったり、問題として意識されず、声が上げられていなかった(上げづらかった)ことが、現在では問題として認識され、声が上がるようになってきたことも一因と考えられます(ハラスメント)。

時代や環境によって労使間で起こりやすいトラブルの内容も変化しますので、そうした観点からも、就業規則を見直すことをお勧めいたします。

よく耳にする「うちは前からこうだから」は理由になりません。
このような問題でよく見受けられるのが、管理監督者や定額(固定)残業制に関わるものです。

管理監督者
・役職者は残業代の支給対象外
・課長以上を管理監督者としているため、残業代は支払わない
定額残業制
・基本給に残業代を含めている
・年俸制で残業代も含んでいる
・営業手当を残業代にかえて支給している
・残業代を一定額払うがそれ以上は払わない
・共通して、上記の理由で時間管理をしていない
など

一昔前はよくも悪くも問題になりづらかったことについて、世の中の認識が改まってきています。そのため、トラブルも起こりやすくなっていますので、特に注意が必要です。

管理監督者
「管理職=管理監督者」と一概に言えません。

最近の判例で、全国にチェーン展開している飲食業のA社は、各店舗の店長を管理監督者として扱っていましたが、店長から「自分は労働基準法の管理監督者には該当しない」として訴えられ敗訴したものがあります。

ポイントとなるのは、単に役職者名で管理監督者か否かを判断するのではなく、「管理監督者」か否かは、実態に基づき以下の4つの要件で判断します。

(1)経営者と一体性がある
経営会議等に参加し、かつ発言権があるかどうか。

(2)人事考課権がある
人の採用、人事考課(昇給、昇格、賞与等を決定するための評価)、解雇などの権限があるか。

(3)勤務時間に裁量がある
遅刻、早退等による賃金控除や、人事考課上でのマイナス評価がされていないか。

(4)相当の待遇差がある
一般的な労働者と比較して、相応な待遇がなされているか。

※詳細は1月30日配信のメルマガをご覧ください。

☞ 「労基法で考えている管理監督者とは」

 >>> 詳しくはこちら
 ※別サイトに推移します。

なお、2019年4月から管理監督者についても労働時間の把握は必要(義務)となっています。

定額残業制
毎月の給料の中で、あらかじめ残業代を支払う仕組みを言います。
定額残業制を導入する会社の増加、また定額残業制に関する情報の広がり等に伴い、定額残業制に関する争いも増えました。

定額残業制に関する判例に、テックジャパン事件(最高裁判決2012年3月8日)があります。この裁判で櫻井判事の補足意見は定額残業制を合法的に導入する要件のリーディングケースとなり、その後の判決や求人情報の記載方法等にも大きな影響を与えています。

この判例に倣って、形式がこと細かに整っていないと定額残業制が否定されるという厳しい判決も多くなりましたが、最近では大枠の形式が整っており、実態としてきちんと残業代が支払われている(時間管理をし、残業代計算し、定額残業代を上回っている。不足の場合は不足分を支払う)ことで制度が認められる判例も出てきています。

しかしながら、こうした問題が起きないようにするためには、過去の判例のポイントを踏まえ、チェックされることをお勧めいたします。

※未払い残業代訴訟を起こされ、定額残業制が否認されるケース
・給与規程に未記載(ex.みなし残業代の手当名称や定義。※分かりやすく、区別)
・雇用契約書に未記載(ex.みなし残業代やみなし残業時間数)
・給与明細に未明記(ex.みなし残業代や超過残業代、各対応する時間数)
・社員への説明が不十分なまま定額残業制を導入
・社員の同意を得ずに定額残業制を導入
・みなし残業時間数を過大に設定
・みなし残業代を超過した分の差額精算をおこなっていない。
・36協定(時間外・休日労働に関する労使協定)の締結手続きに不備がある
・労働時間管理できていない

厚生労働省の行政通達でも、「割増賃金に当たる部分の金額が、実際の時間外労働等の時間に応じた割増賃金の額を下回る場合には、その差額を追加して所定の賃金支払日に支払わなければならない」とされています。

つまり定額残業制を導入しているからといって、労働時間を把握しなくてもよいというわけでなく、きちんとおこなっておく必要があります。

就業規則は会社のルールであり、運用の根拠となるものです。常にベストな状態にしておくことで、まずはトラブル発生を抑止するとともに、就業規則に基づき運用しておくことで、万が一トラブルが発生した場合でも、会社は就業規則に正しいルールがあり、それに基づき、きちんと運用をおこなっていると主張できるため、ダメージを抑えることが期待できます。

※3. ルール変更、4.雇用形態 や 5.勤務形態の変更に関する見直しのポイントは、次回のブログでお届けいたします。



KING OF TIME 情報


今回は、以下2点についてご案内します。

◆ 有給休暇などの休暇付与方法
◆ 従業員からの申請


有給休暇などの休暇付与方法

従業員が入社した日に、有給休暇などの休暇を付与する場合もあるかと存じます。休暇は任意の付与日で手動付与することが可能です。

有給休暇などの休暇付与方法

☞ 各種休暇の付与はどこから行なえばよいですか?

 >>> 詳しくはこちら



従業員からの申請

従業員は打刻・スケジュール・残業申請を行なえます。 各種申請方法、また、従業員画面の操作方法をマニュアルにまとめています。ぜひ新入社員の方にご紹介ください。

従業員からの申請

☞ 従業員マニュアル

 >>> 詳しくはこちら



本記事が皆様のお役に立てれば幸いです。
次回は引き続き、「就業規則は毎年見直しましょう(その2)」について、お伝えする予定です。
今後もKING OF TIMEをご愛顧いただけますよう邁進してまいりますので、何卒よろしくお願いいたします。



監修:社会保険労務士法人ヒューマンリソースマネージメント
https://www.human-rm.or.jp/

 
 
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