30日間無料体験
オンライン見積
資料ダウンロード

労務情報

間違えて運用していませんか?【 1か月単位の変形労働時間制(その2)】 ~ 日、週、月単位の残業設定を見直そう ~

公開日:2020年2月27日(当記事の内容は公開時点のものです)

監修:特定社会保険労務士 馬場栄


間違えて運用していませんか?【 1か月単位の変形労働時間制(その2)】

今週のピックアップ

【労務情報】
◆ 残業時間の計算を「月の単位」だけでやっている
◆ 労働日・労働日ごとの労働時間があらかじめ決まっていない
◆ 勤務シフトを変形期間の途中でよく変更している
◆ 1か月変形の有効性が争われた裁判
◆ 裁判から読み取れるポイント

【KING OF TIME 情報】
◆ 固定シフトの登録方法
◆ 異動の処理が遅れた場合はどうすればいいか


残業時間の計算を「月の単位」だけでやっている

1か月の労働時間を合計し、その時間が法律で定められている月の上限時間数(177.1時間、171.4時間 等)を超えた時間を、残業時間としてカウントしているケースです。

1か月変形の残業時間の計算は、前回のメルマガでもお伝えしました通り
「日の単位」「週の単位」「月の単位」の3つ全てで計算する必要があります。

「月の単位」だけの計算では、正しい残業時間は計算できません。
このような間違った計算をしている会社は、結構多い印象です。


労働日・労働日ごとの労働時間があらかじめ決まっていない

1か月変形を運用する場合は、その変形期間が始まる前に、その期間の労働日・労働日ごとの労働時間をあらかじめ決めて、労働者に周知する必要があります。

例えば、毎月1日を起算とする1か月変形を導入している会社であれば、遅くとも前月末日までには勤務シフトを決定し、周知する必要があります。

1か月先の勤務シフトが組めないので、1週間ごとにシフトを組んでいる、もしくは勤務シフトをそもそも作成していない、といったケースも、間違った運用方法の代表例になります。


勤務シフトを変形期間の途中でよく変更している

「変形労働=労働者の生活が不規則になる可能性がある」という背景で、あらかじめ勤務シフトを決める必要がありますが、決まった勤務シフトを、会社が業務の都合により変更することが認められるか?という問題があります。

これについては、行政解釈で「使用者が業務の都合によって、任意に労働時間を変更するような制度は、労働時間を特定する。という要件を満たさない」と記載しているのみです。
ちなみに過去の裁判例では、「変更事由は、天災地変や機械の故障など、緊急をやむを得ない事由に限定すべき」という判例や、そこまで厳格な運用はせず「予定していた業務の大幅な変動など、例外的な事由に基づく場合は認める」といった判例があります。

事細かに法律で決められている訳ではありませんが、変形期間の途中に頻繁に勤務シフトを変更しているなどの実態があれば、変形労働の適用が否定される可能性は非常に高いと言えるでしょう。


1か月変形の有効性が争われた裁判

飲食業をチェーン展開する企業Aでは、1か月変形を導入しており、就業規則にもその旨が記載されていました。

アルバイト従業員は学生がメインで、1か月先の予定が組みにくいという事情もあり、企業Aでは毎月1日と16日頃にアルバイトにシフトの希望日を確認、2週間単位で勤務シフト表を作成していました。

企業Aで働いていたアルバイト社員から提訴され、裁判では企業Aでの1か月変形の適用は無効であり、支払っていない残業代の支払いを命じました。


裁判から読み取れるポイント

1か月変形を運用する場合は、その変形期間が始まる前に、その期間の労働日・労働日ごとの労働時間をあらかじめ決めて、労働者に周知する必要があります。
企業Aでは、就業規則で変形期間を1か月間としていたところ、実態では2週間単位で勤務シフトを作成していました。

学生アルバイトが多い会社ですと、そのようにシフトを組むことも十分に理解は出来るのですが、司法の場ではこのような会社の事情は考慮されません。
法律で定めているルールを、きちんと守られているかどうか。それだけです。

では、ルールが守られておらず、1か月変形の適用が無効と判断された場合、どのような影響があるでしょうか?

例えば、「1日12時間シフト」を組んだ場合、1か月変形がルールにそって運用されている場合は、原則の8時間を超えても割増賃金を支払う必要はありません。(12時間を超えて労働した場合には割増賃金を支払う必要があります)

しかし、運用の不備などで1か月変形の適用が無効となってしまうと、原則通り、8時間を超えて労働した時間に対して、割増賃金を支払うこととなります。

つまり、原則の労働時間のルール「1週間は40時間、1日は8時間まで」に置き直して、遡って割増賃金を支払わなければいけなくなる(未払いが生じる)ということです。

前回のメルマガでも記載しましたが、会社が労働時間を柔軟に運用することを認める代わりに、必ず守らないといけないルールがあるということです。

もし間違った運用をしていた場合は、これを機会に是非見直しをして下さい。



KING OF TIME 情報


今回は、先月お問い合わせを多くいただいた、以下2点についてご案内します。

◆ 固定シフトの登録方法
◆ 異動の処理が遅れた場合はどうすればいいか



固定シフトの登録方法

従業員に固定のシフトスケジュールがある場合は、自動スケジュール設定から「勤務日種別」と「スケジュールパターン」を登録すると便利です。


スケジュール登録

☞ 「自動スケジュール設定」とは何ですか?

 >>> 詳しくはこちら

従業員ごとに固定シフトが異なる場合は、従業員ごとに自動スケジュールを設定する機能がございます。

☞ 「従業員別自動スケジュール機能」とは何ですか?

 >>> 詳しくはこちら

自動スケジュールは「未来日」に対してのみ反映されます。
過去のスケジュールについてはスケジュール管理から該当従業員に対し、手動でスケジュール登録しなければなりません。

☞ スケジュールを手動で割り当てるにはどうすればいいですか?

 >>> 詳しくはこちら



異動の処理が遅れた場合はどうすればいいか

異動日の設定は対象従業員の設定画面で実施します。
当月度開始日までの異動であれば、日にちを遡って変更できます。

例えば、作業日が2月11日だとします。
毎月末日締めの企業である場合、異動日には「2月1日~2月10日」の日付を指定できます。
2月1日以前の日付は指定できません。

雇用区分の設定

詳しくは以下のヘルプページをご参照ください。

☞ 所属・雇用区分変更の異動日を過去日で登録できますか?

 >>> 詳しくはこちら



以上、「1か月単位の変形労働時間制」についてご案内いたしました。
本記事が皆様のお役に立てれば幸いです。
次回は「新卒採用時に注意すべき点」について、お伝えする予定です。
今後もKING OF TIMEをご愛顧いただけますよう邁進してまいりますので、何卒よろしくお願いいたします。

 
 
30日間無料体験バナー