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労務情報

【労働基準監督署の監督行政について】~何がチェックされる?~

公開日:2019年12月12日(当記事の内容は公開時点のものです)

監修:特定社会保険労務士 馬場栄

入社時に取り付ける身元連帯保証書の効果

今週のピックアップ

【労務情報】
◆ 労働基準監督署の実態や傾向
◆ 定期監督の流れ
◆ 平成30年の東京都労働局の監督結果について
◆ 長時間労働における監督指導

【KING OF TIME 情報】
◆ 時間外勤務の申請・承認
◆ 未申請残業通知機能
◆ アラート通知登録
◆ 各種勤怠データ出力機能


社労士からのアドバイス

労働基準監督署の実態や傾向

労働基準監督署の監督には、「定期監督」と「申告監督」の2種類があります。

定期監督とは、労働基準監督署が任意に調査対象事業場を選択し、法令全般に渡って立入調査が行われるものです。

原則として予告なしで会社へ訪問し、すぐに調査を行うルールとなっているのですが、実際には調査予定日や準備書類などを事前に予告されるケースが多いです。

また、立入調査を行わず、必要書類を持参し、事業場の代表者や労務の責任者が労働基準監督署に出向いて調査を受けるケースもあります。

申告監督とは、社員が労働基準監督署に申告(内部告発)し、その申告(内部告発)の裏づけとなる事実を中心に立入調査が行われるものです。


定期監督の流れ

定期監督は、各都道府県の労働局が作成した計画に基づいて、労働基準監督署が管轄地域のなかで対象企業を選定して行われます。

一般的には以下の流れで行われます。

1. 予告の有無、初期対応
原則として予告なしで突然行われます。
立入監督(調査)の場合、通常、労働基準監督官が2名来ます。
突然の訪問で責任者、担当者不在の場合であれば、監督官に事情を説明して、監督の日程変更依頼を行うことも可能です。(緊急性が高い案件だと変更できない場合もあります)
ただし、あくまで日程の変更ですので、監督拒否をしないように注意してください。監督拒否の場合、労働基準法違反に発展する可能性もありますので十分留意してください。

2. 提出を求められる書類など
なお、定期監督時に労働基準監督官から要求される帳簿や書類などは監督内容などにより異なりますが、概ね以下の通りです。

・出頭要求書
・就業規則(給与規程などの別規程を含む)
・タイムカードや残業申請書など、直近1年分の社員の労働時間が確認できる書類
・時間外労働、休日労働に関する協定届(36協定)
・賃金台帳
・必要な労使協定
・直近3か月分の変形労働時間制に関する書類
 (変形労働時間制を採用している場合)
・労働者が50名以上であれば衛生委員会の議事録など
・医師による面接指導制度、その実施状況が確認できる書類
・健康診断個人票

3. 確認事項・調査内容
企業毎に来社の目的が違うので一概に言えませんが、概ね過去の経験から以下のような質疑応答をしましたのでご参考までに記載いたします。

・会社の事業主名、事業内容、社員数など会社概要の確認
・備え付け帳簿や書類などの確認
・就業規則等を事業所ごとに就業規則の届出を労働基準監督署にしているか
・労働時間の管理方法が適切であるか、また法定割増など適切に把握し、不払いが発生していないか
・労働基準監督署へ36協定の届出がなされ、加えて労働者代表の選出が適切かどうか
・賃金台帳が備え付けられているかどうか
・社員50人以上の会社であれば、衛生委員会が設置されているかどうか
・医師(産業医)による面接指導がきちんと行われているか
・入社時や1年に1回の健康診断が実施されているかどうか
また、監督官から在社中の社員に対し、直接ヒアリングも行われたケースもありましたので、この点も留意する必要があります。

4. 是正勧告書、指導票、使用停止等命令書の交付
労働基準監督署の調査の結果、法令違反や改善点が見つかった場合は、会社は労働基準監督署から是正勧告や指導を受けることになります。
法令違反の場合は、その違反事項と是正期日を定めた是正勧告書が交付され、法令違反ではないが改善する必要があると判断された場合は、指導票が交付されます。

5. 是正報告書の提出
会社は、是正勧告書や指導票を労働基準監督署から交付された場合、是正期日までに指摘された違反事項や改善点を是正・改善して、是正報告書を提出しなければなりません。
是正期日までに間に合わなければ、監督官に事情を説明し、期間の延長を依頼しましょう。是正が全て完了していないからと言って、何も報告しないのではなく、出来たところから報告するようにしましょう。

過去、間に合わなかった是正項目は、その時点での進捗状況や今後の予定等を説明し、いつまでに報告するかも合わせて行えば、監督官から了承頂けたケースが大半でした。


平成30年の東京都労働局の監督結果について

前段の話を踏まえ、昨年度の監督結果について一度整理してみます。

毎年6~11月頃になると、前年度の監督結果が公表されます。
平成30年度も、定期監督と申告監督それぞれの監督結果が公表されたので、東京都の内容と傾向を確認しておきましょう。

先ずは定期監督から
定期監督等の実施事業場数: 12,668 事業場
このうち、9,188 事業場(全体の 72.5%)で労働基準関係法令違反がありました。
⑴ 違法な時間外労働があったもの: 2,837 事業場(22.4%)
⑵ 割増賃金不払があったもの: 2,470 事業場(19.5%)
⑶ 機械・設備等の危険防止措置に関する安全基準に関する違反があったもの:2,346 事業場(18.5%)

ここ数年の傾向として、労働時間の行政指導は、年々厳格に行われているようにも感じます。特に労基法36条の改正(36協定の違反の罰則強化)が2019年度から施行されており、ますます指導が厳しくなることは容易に想像できます。

☞ 東京都内の労働基準監督署における平成30年の定期監督等の実施結果

 >>> 詳しくはこちら


また、申告監督の実態も見てみると
東京労働局が申告を受けた件数:4,315件
⑴ 賃金不払: 3,489 件(前年比38件(1.1%)増)
⑵ 解雇: 557 件(前年比17件(3.0%)減)
⑶ 労働時間: 78 件(前年比13件(20%)増)
となっており、賃金不払いについての申告(内部告発)が8割以上を占めています。

ここ最近の申告(内部告発)の傾向として、以前だったら、退職者から残業代未払い等の請求が中心でしたが、ここ最近は在職したまま労基署へ申告し、是正されるケースが増えています。うちの社員は大丈夫といった過信をやめ、適切な時間管理、法律に基づいて割増賃金の支給が改めて求められております。

☞ 東京都内の労働基準監督署における平成30年の申告事案の概要

 >>> 詳しくはこちら


長時間労働における監督指導

長時間労働が疑われる事業場に対する平成30年度の監督指導結果が発表されました。
この監督指導は、各種情報から時間外・休日労働時間数が1か月当たり80時間を超えていると考えられる事業場や、長時間にわたる過重な労働による過労死等に係る労災請求が行われた事業場を対象としています。

(1) 監督指導の実施事業場: 3,155事業場
このうち、2,182事業場(全体の69.2%)で労働基準関係法令違反あり。
(2) 主な違反内容[(1)のうち、法令違反があり、是正勧告書を交付した事業場]
① 違法な時間外労働があったもの: 1,215事業場 (38.5%)
うち、時間外・休日労働の実績が最も長い労働者の時間数が月80時間を超えるもの: 738事業場 (60.7%)
うち、月100時間を超えるもの: 486事業場 (40%)
うち、月150時間を超えるもの: 125事業場 (10.3%)
うち、月200時間を超えるもの: 32事業場 (2.6%)
② 賃金不払残業があったもの178事業場 (5.6%)
③ 過重労働による健康障害防止措置が未実施のもの: 397事業場 (12.6%)
(3)主な健康障害防止に係る指導の状況[(1)のうち、健康障害防止のため指導票を交付した事業場]
① 過重労働による健康障害防止措置が不十分なため改善を指導したもの: 2,327事業場 (73.8%)
うち、時間外・休日労働を月80時間以内に削減するよう指導したもの: 1,231事業場(52.9%)
② 労働時間の把握が不適正なため指導したもの: 598事業場 (19%)

☞ 長時間労働が疑われる事業場に対する平成30年度の監督指導結果

 >>> 詳しくはこちら

企業様ごとにできていることいないこと、その程度もさまざまと思いますが、上記と照らし合わせて、現状の確認をし、課題の洗い出しをしてみましょう。そのうえで、必要があれば、対応の優先順位づけ、対策の検討・実施いただくとよろしいと思います。

また、労基署の調査でも重視されるポイントともなる「適切な労働時間の把握」は、これら取り組みのベースでもあります。ぜひこの機会に、自社の労働時間に関するルールや管理、把握方法などの確認を行っておきましょう。



KING OF TIME 情報


今回は、労基署の調査でも重視される「適切な労働時間の把握」に関連のある、以下の機能についてご案内します。

◆ 時間外勤務の申請・承認
◆ 未申請残業通知機能
◆ アラート通知登録
◆ 各種勤怠データ出力機能



時間外勤務の申請・承認、未申請残業通知機能

~ 残業を申請制にする ~

従業員の勤務時間の実態を把握する事がまずは重要です。特に従業員が上長の監督なしで残業している場合は注意が必要です。

本製品では、従業員による残業時間の申請を、管理者が承認する管理方法を採用できます。
以前にもご紹介させていただいた機能ですが、非常に有効なので再度ご案内させて頂きたいと存じます。

時間外勤務の申請・承認

未申請残業通知機能

☞ 申請した時刻までの残業を認めることはできますか?

 >>> 詳しくはこちら

メール通知を設定し、承認されていない残業時間を把握することもできます。

☞ 申請や承認がされていない残業時間を把握することはできますか?

 >>> 詳しくはこちら



アラート通知登録

~ 時間外労働の超過をビジュアルに把握する ~

時間外労働が一定の数値を超えた場合に任意の色で表示したり、管理画面で「対応が必要な処理」としてアラート表示することも役立ちます。
以下の機能を活用し、従業員の労働時間の実態を把握しましょう。

日別データ:画面キャプチャ

☞ 一定の数値を超過している、あるいは不足している勤怠を抽出・確認することはできますか?

 >>> 詳しくはこちら

☞ 時間外労働の上限時間を設定することはできますか?

 >>> 詳しくはこちら

☞ 勤務が一定時間、日数を越えた場合、メールで通知することはできますか?

 >>> 詳しくはこちら



各種勤怠データ出力機能

~ 勤怠データをエクスポートする ~

勤務データはCSVやPDFの形式で出力できるので、エクスポート機能の使い方も覚えておくと便利です。管理者画面の「エクスポート/インポート」から各種データを必要に応じて出力できます。

時間外勤務の申請・承認

☞ 「日別データ[CSV]」とは、何ですか?

 >>> 詳しくはこちら

☞ 「月別データ[CSV]」とは、何ですか?

 >>> 詳しくはこちら

☞ 「タイムカード[PDF]」ではどのような値が出力されますか?

 >>> 詳しくはこちら



以上、労働基準監督署の監督行政についてご案内いたしました。
本記事が皆様のお役に立てれば幸いです。
次回は、今回の記事とも関係のある「外国人労働者を採用するときに注意すべきポイント」について、お伝えする予定です。

今後もKING OF TIMEをご愛顧いただけますよう邁進してまいりますので、何卒よろしくお願いいたします。

 
 
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