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労務情報

【配置転換や職務転換の注意点】 ~対応策をしっかりたて、トラブルを回避しよう~

公開日:2019年10月24日(当記事の内容は公開時点のものです)

監修:特定社会保険労務士 馬場栄

フレックスタイム制度とは?

色彩あふれる紅葉の美しさに、心弾む季節となりました。
ヒューマンテクノロジーズの渡邉です。

各地に多大な被害をもたらした台風19号の到来から10日あまり、まだ復旧作業の最中にある方も多いと思います。

厚生労働省では、
「令和元年台風第 19 号による被害に伴う労働基準法や労働契約法に関するQ&A」と題して、
賃金などの労働条件について、使用者が守らなければならないことをQ&Aにまとめています。
ご参考になりますと幸いです。

☞ 令和元年台風第19号による被害に伴う労働基準法や労働契約法に関するQ&A

 >>> 詳しくはこちら

☞ 令和元年台風第19号による被害に関する特別相談窓口

 >>> 詳しくはこちら


さて、10月終わりに近づいておりますが、10月1日で事業年度後半を迎えた企業も多いのではないでしょうか。
そんな区切りに必ずと言っていいほどある、配置転換や職務転換。
各従業員のスキルを最大限発揮させるためには、必要不可欠なものです。

今回は弊社の人事管理システム「huubHR」の機能についてご紹介します。
各従業員の事情を把握し、トラブルのない配置転換や職務転換を実施しましょう。

ご紹介する機能は以下2点です。
・各従業員の部署、役職等の管理
・従業員の家族情報の管理


各従業員の部署、役職等の管理

「huubHR」とは、人事情報をクラウドで一元管理できるシステムです。

各従業員の現在の部署や役職、またその履歴も管理可能です。
事前に「〇月〇日から△△部署」と登録できるので、「異動後に登録しようと思っていたら忘れていた!」といったことが無くなります。

また、過去の部署、役職の履歴も残すことができるので、適材適所な配置転換や職務転換を検討する際に、素早く確認できます。

なお、システムを利用し始める前の、過去の情報も登録できます。

フレックスタイム設定:画面キャプチャ

☞ 従業員の過去の人事情報を登録できますか?

 >>> 詳しくはこちら

☞ 履歴機能とはなんですか?

 >>> 詳しくはこちら


社労士からのアドバイス

配置転換や職務転換を行う目的とは

企業は人事の一環として、従業員の配置や職務の転換などを、多かれ少なかれ、一般的に行っているところが多いと思われます。

その目的は、従業員の人材育成、適材適所、組織の活性化など様々と思いますが、なかには、問題社員(能力不足、現状の職務や職場について適性がない、協調性がないなど)への対応という、ネガティブな理由から行われることもあるかと思います。

少々古い考え方かもしれませんが、従来の日本型雇用では終身雇用が前提とされており、また法律においても従業員の解雇が大きく制限される中、在職中に労務トラブルが発生した場合の配置転換や職務転換等の人事権については、裁判所の判断としても、会社側に広く裁量を認める、言い換えると会社側の言い分が通る傾向にあります。

しかし、会社側の人事権が無制限に認められる訳ではありません。
では、どのようなケースで、会社側の人事権が認められなず、ひいては「人事権の濫用」として否定されるのか、具体的な裁判例を見ていきたいと思います。


配置転換が権利濫用として認められなかった裁判例

▶ 事件の概要は以下の通りです。

・ 従業員AとBは、C社の兵庫県姫路工場で現地採用され、同工場のギフトボックス係に所属、継続勤務していた。
・ C社はギフトボックス係を廃止することを決定し、所属している労働者60名に対し、茨城県霞ケ浦工場へ転勤するか、特別退職金を受け取り退職するかの選択肢を伝えた。
・ AとBを除く58名のうち、9名は霞ケ浦工場へ転勤をし、残り49名は退職をした。
・ AとBは、家族の生活上の都合等により配転命令に応じることはできないとし、姫路工場に残留することを希望する旨を会社に対し複数回伝えたが、会社は霞ケ浦工場への転勤を伝えた。
・ AとBは、本配置転換命令は無効であるとして、C社を訴えた。

▶ 大阪高裁は、以下の理由で本配置転換は無効であるとの判決を下しました。

✔ 従業員Aの妻は病気で、また従業員Bの母親は認知症のため、介護が必要である。
✔ 共に単身赴任は事実上不可能で、転勤先に同行させれば、知らない土地に住むことで病状が悪化する可能性がある。
✔ 家族介護の状況などを考慮すれば、従業員AとBが転勤によって受ける不利益は非常に大きいものである。



従業員の家族情報の管理

huubHRでは、従業員の情報だけでなく、従業員の家族の情報も管理できます。

パターン登録:画面キャプチャ

給与計算に必要な情報はもちろんのこと、カスタマイズ項目を作成できるので、「家族が要介護認定されている」「家族が入院している」などの情報も登録できます。

パターン登録:画面キャプチャ

☞ 家族タブではどのような項目が設定できますか?

 >>> 詳しくはこちら

☞ 管理者マニュアル( P.31「項目のカスタマイズ」)

 >>> 詳しくはこちら


社労士からのアドバイス

配置転換が無効と判断されるポイント

では、どのようなケースで配置転換が人事権乱用として無効となるのでしょうか。

裁判例を見ますと、
(1) 業務上の必要性がない場合
(2) 不当な動機・目的に基づいている場合
(3) 労働者に通常甘受すべき程度を著しく超える不利益がある場合

上記のパターンに該当する場合、裁判所は人事権の濫用として配置転換が無効とする傾向にあります。

(1) 業務上の必要性がない場合
———————————————
この判断は、配置転換を行う際に、必ずこの労働者でないとダメだという高度の必要性を求めている訳ではなく、従業員の人材育成、適材適所、組織の活性化など、一般的な人事施策として行われるのであれば、裁判所は必要性を広く認める傾向にあります。

(2) 不当な動機・目的に基づいている場合
————————————————————
労働者を退職に追い込む目的でなされた転勤命令、会社や社長の方針に対する批判的言動への転勤命令などが、裁判所は認めなかったというものがあります。

(3) 労働者に通常甘受すべき程度を著しく超える不利益がある場合
———————————————————————————————
業務上の必要性があり、不当な動機・目的に基づくものでないとしても、こちらに該当する場合には、配置転換は権利濫用として裁判所は無効と判断する傾向があります。

では、通常甘受すべき程度を著しく超える不利益とは、具体的にどのようなケースが該当するでしょうか。

夫婦共働きや子供の学校のためなどの事情で単身赴任せざるを得ないというケースは、このケースには当たらないとされています。
つまり、配置転換は有効であると判断される傾向にあります。

一方で、労働者が複数の病気の家族を看護していたり、重度の病気の家族を看護しており、家族帯同による転勤も単身赴任も困難であるなどのケースでは、通常甘受すべき程度を著しく超える不利益がある場合として、配置転換は無効と判断される傾向にあります。


配置転換に伴うトラブル対応策

全国転勤が当たり前の保険業界で、某外資系保険会社では、配置転換に対する社員の意識は変わってきており、かつては積極的とはいかないまでも、辞令だから仕方がないと配置転換が受け入れられてきましたが、今では、何とかならないかと交渉が頻発するなど消極的な社員が増えてきているとのことです。
そこで、本人が希望しない全国転勤を廃止したところ、新卒応募者数が10倍となったというニュースが最近ありました。

また、今後ますます増えるであろう介護問題、共働きでの育児など要因も加わって、現実的にできないという社員も増えてくるのではないでしょうか。
そういった環境変化の中で、会社が配置転換や職務転換などの異動を行う際に、気を付けるポイントをご説明します。

(1) 異動の人事権を明確にする
———————————————
会社ルールとして配置転換や職務転換があるのでしたら、そのルールを従業員に理解して貰う必要があります。そのためには、就業規則はもとより、労働条件通知書や雇用契約書に異動の可能性があることを明記します。

<記載例>
職務内容:営業、その他会社が指示するあらゆる業務。
ただし、異動(配置転換・職務転換など)により、他の職務に就かせることがあります。

当初予定している主たる業務以外にも従事する可能性を記載することによって、異動に関する人事権を補強します。

細かい記載ではありますが、異動に関するルールを労働条件通知書や雇用契約書に記載することは、いざという時に会社を守る上でとても有効ですので、あらためて自社で使用している書面を確認してみてください。

(2) 転勤を拒否されたら
———————————————
労働者から転勤を拒否されたら、どうすればよいでしょうか。
先ずは、転勤に応じられない理由を確認し、場合によっては資料(健康面の問題であれば診断書など) を提出してもらい、転勤を行うか会社として改めて検討する必要があります。

労働者に前述した不利益があるのであれば、転勤命令を撤回する以外には、転勤時期を変更することや、転勤期間を短縮するなど、不利益の度合いを緩和するための検討も必要です。

そのようなプロセスを踏まえて説明してもなお、労働者が拒否をするのであれば、先ずは自主退職を求める退職勧奨を行い、それでも退職を受け入れないケースでは、最後の手段として業務命令拒否を理由とする懲戒解雇も慎重に検討することになります。

最後に・・・
基本的なことではありますが、職務転換や配置転換を行う際には、対象社員にその目的や期待することなどを十分に説明し、理解・納得してもらうこと。
さらにはモチベーションを高め前向きにとらえてもらうことなどの丁寧な対応や、それを実現するための日々のコミュニケーションの積み重ねも大切なポイントだと考えます。




以上、配置転換や職務転換の注意点、huubHRの機能についてご案内いたしました。
なお、huubHRは勤怠管理システム「KING OF TIME」と従業員情報の連携が可能です。
本記事が皆様のお役に立てれば幸いです。

次回は、過労死等防止啓発月間にともない「労災事故で絶対にやってはいけないこと」について、お伝えする予定です。

秋が深まりゆく季節、お体にお気をつけてお過ごしください。
今後もKING OF TIMEをご愛顧いただけますよう邁進してまいりますので、何卒よろしくお願いいたします。

 
 
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